


タイの天然藍染めの布
バンコクにつぐタイ第二の都市チェンマイ。その歴史は古く、北部の文化・経済の中心地として知られています。都市は近代的な発展をとげる一方で、チェンマイ周辺の地域には今もなお多くの山岳民族が暮らしています。
マライカでは山岳民族が古くから使用しているタイのモーホーム(藍染め)に注目し、毎シーズン現地の工房で商品づくりをしています。その制作の様子を見せてもらうため、チェンマイ郊外、ランプーン県との県境にある工房を訪ねました。

染料となる藍の葉。

モーホームに使う甕(かめ)。
ひとたび工房の敷地内に足を踏み入れると、辺りは静まりかえりまるで別世界に迷いこんだようです。
モーホームのモーは甕(かめ)ホームは藍のことで、現地の言葉で甕で染める天然の藍染め布を意味します。
藍は切り傷に効き、虫除け・殺菌の効果があるため、農業を営む人々の作業着としても重宝され、タイの人々からとても人気があります。



摘んだ葉を2~3日ほど水に浸け、藍の色素インジゴになる物質が溶けだしてきたところで、葉をすべて取り除きます。その中に石灰を溶かしいれ、空気を入れ込むように混ぜます。
「藍の華」と呼ばれる青い泡が立ち、その泡が徐々に濃くなっていったところでしばらく置きます。
一日以上たつと生成されたインジゴが石灰に付着し沈澱します。その上澄み液を捨て、底に溜まったものが泥藍です。



すると表面に青い泡が立ち始めてようやく染められる状態になります。これを藍建てと呼びます。
染料を用意するだけでも大変な手間と時間のかかる作業です。
出来上がった染料に布をつけ込み、しっかり絞って空気と触れさせるために布を軽く叩きます。
そのまましばらく置くと次第に色が変わってきます。モーホームはこの作業を繰り返して染められます。
その回数が多ければ多いほど、濃い藍色に仕上がります。

大量生産のファストファッションとは比べ物にならないほどの手間をかけ、一点ずつ手作業で作られるモーホームの服。
製作に長い時間がかかる分、天然染料の色の落ち具合やあたりの出方など、自分だけの味、経年変化を楽しむことができます。
服の持つ豊かさとはどれだけたくさんのものを持っているかということではなく、その一着が出来上がるまでの、そして誰かの手に渡り長く大切に使われていくその時間のこと。
モーホームの深い藍色を見ているとそんな風に思えるのです。
モーホーム/その他藍染めの商品は、一部店舗を除く全国のマライカ、または、公式オンラインショップでも販売しております。